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2007年06月11日

浄化槽問題

経過

5月11日 

 着工時に一度必要と思われる近所の方には挨拶廻りをしているが、この地域では排水のことについてはあらためて話しておいたほうがよいという近隣の方のアドバイスもあり、浄化槽の工事の準備に入る前に、内容を説明すべく施工者、設計者、クライアント夫妻の三者で資料を持って近隣各戸を訪問。汚水及び雑排水処理について説明する。「ヤマメも棲める、BOD1ppmという排水水質を誇る石井式浄化槽を用い、浄化された水を敷地内の畑に再使用する計画」を説明。了承の方、受け入れられないという方に分かれる。反対の方の一人はこちらの話は一切聞かず「まず挨拶が遅い。上水道がなく井戸水のみの地域で、処理されたとはいえその汚水が井戸に混じらない保証はない、その浄化されたという水をそのまま自分で飲むというなら了承する。そのままやるならうちの汚水をその新しい家の井戸にぶちまける。生活排水については不問。」との見解。長時間にわたり苦情を聞く。


5月15日 

 クライアントD氏より、問題解決まで「現場凍結宣言」が出される。

  
5月16日 

 施工業者と水道業者と設計者の三者で打合せ。汚水排水を地中にすら出さない計画に。石井式浄化槽で浄化した水をトイレの洗浄水として再利用する閉じたシステムとする。浄化した汚水を溜めるタンクでの剰余水のみを汲み取って処理場へ。生活排水については、別に設ける第二の浄化槽で処理をしたのちに、敷地に接する川へ放流する。


5月17日 

 再度、上記反対意見の方のお宅を訪ねて新たな計画の内容説明。おおむね了解だが、「うちだけの判断ではいけない。各戸を再度廻るように」とのこと。今までの近隣での水のトラブルなど、今回も延々と話を聞く。


5月18日 

 D氏、自治体の長へ、事態収拾を要請。未だ連絡すらなし。「汚水は浄化して下流の部落の川へ放流。もしくは浄化せず昔ながらの汲取り。生活排水はそのまま流している。」という、この地域の排水に関する取り決めの理不尽さと、それを放置する自治体の取り組みに対する抗議の内容。『満足な対応が無い場合、今既に完成している鉄筋コンクリートのコア部分を「卑怯、無責任、無関心」を表現するモニュメントとして現地に残し、未来永劫そこには住まない』というメッセージを添えて。     


5月25日 

 自治体担当課へ。話の流れを説明する。「反対者は無視して原設計どおりすすめてはどうか。」「はじめに議員を使わないからうまくいかない。」「浄化槽の補助はあくまで合併処理浄化槽に対するもので、いかに高性能な浄化槽を使ってきれいな排水にしようが、汚水と雑排水が別系統になると補助は出せない。あなた方の環境に対する認識は分かるし、補助金制度の目的からすると出すべきだとは思うがきまりはきまり。」

 クライアント夫妻宅を訪ねて上記の報告説明。誰も頼らず誰にもおもねることなく、我々が正しいと考える手法で進めることを確認。市川社長から、「あなたをあの家に呼び戻す為いかなる尽力も惜しみません。追加発生する費用は私たちが協力します」と英語で申し出。工事再開の準備へ。


5月31日 

 近隣の方々を、新計画の説明書を携えて再度訪問する。上記反対者の方から、部落全員を一度に集めて説明会を開くよう要請。受諾。


6月11日 

 問題解決に協力的な隣人のYさんのご自宅をお借りして説明会を開く。クライアント夫人Fさんも同席。ご主人Dさんの、地球的視野に立つ環境意識と、この地を訪れるたびに自分達が感じる文化的な感覚の相違による戸惑いなども素直に話される。彼女のやさしい話し方が場の雰囲気を和らげる。出席者全員が新計画に同意。欠席者は結論に発言権を持たないことで合意。地域の全戸が押印した書面を作成する。




最終的な排水システム

 汚水は石井式浄化槽で浄化、溜めておいて水洗トイレの洗浄水として中水利用する。タンクにたまった剰余水のみを汲取りする。風呂、台所、洗濯などの生活排水は雑排水処理槽を経て川に排水。


それは・・・

 浄化槽排水を下流部落の川に放流するのは配管に莫大な経費がかかる(100m以上!)。なにより・・・、他の部落になら流してもいいというその考えには同調できない。昔ながらの汲取りでは臭うし、衛生上の問題を引き起こす。生活排水は現在、各戸自分の畑に流したり川に流したりしているが、周辺環境に対しては汚水を浄化した排水よりもはるかに影響が大きく、我々はそれはできない。


信念

 当初の計画は、クライアントD氏の環境意識の高さに導かれたもので、「汚水、生活排水ともに、最高レベルに浄化した排水を敷地内の畑に再利用する」というこの上なく近隣に配慮したものであった。最終的にも基本的にはその考え方に背かない、近隣にそして環境に対して最善と思われるシステムと出来たことは、現代の技術者の理性的な対処として、満足できると考える。


そして・・・

 必要な時期に必要な説明を近隣に対して行い、もとより原計画に間違いは無く、当方に非は無いという信念で相談や対話を進めたが、着手前、計画段階からの周辺の意識調査や対話が不足していたことは解決してみればやはり否めない。今後に活かしたい。




posted by uch at 00:00| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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